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いいまつがい

柄にも無くテニスにはまっている。
4年程前にネパールの縫製工場の社長さんに誘われて一回やったので病み付きになり、薄紙を重ねるがごとく少しずつうまくなっているつもりなのだけれど、3歩進んで2歩さがりたまに5歩くらいさがっている自分に気付いたりして愕然するのだが、たまに妙にうまくプレーできたりして幸せを噛み締めたりするのだけれど、10回に9回は砂を噛むような気持ちでプレーをしている。

先週の日曜日は10回に1回の日だった。サーブは入るし、ストロークは調子いいはボレーも決まる。ただダブルスで組んだいつもいろいろ教えてもらっている先輩の調子がいつになく悪く、本人も首をかしげながらプレーをしていて、次第にいらいらがつのっているのがひしひしと伝わってくる。
もちろん僕は先輩が失敗しても
「ドンマイ」とか「気にしないで思い切っていきましょう」とかなんとか気分をもり立てようと苦心していた。
あるポイントでイージーボールがあがり先輩が見事にスマッシュを決めた。ここは盛り上げないといけない。
「さすがですね!」
と早速笑顔で声をかけたのだけれど、あれ先輩の顔色が変わっている。
自分の言葉を反芻してみる。
「さすがに決めましたね」
……..
後につなげる言葉も思いつかず、言葉少なのままプレーを続け敗北したことはいうまでもなし。

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