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ひじあて

30年の程前の小4の冬、母親がセーターを買って来てくれた。

 

ジャガード風のニットのセーターで、喜んで着てみたのだが、なにかおかしい。違和感の正体は考えるまでもなく一目瞭然、肘の外側に来るはずの肘あての丸いパッチが正反対の肘の内側に来ているのだ。肘は曲げにくいし、格好もどう考えてもおかしいのだが、当時の僕はちょっと不満だった気がするのだけれど、そのセーターを着て冬の校庭を走り回っていた。母親もおやおや などと言ったとは思うのだが、返品交換をするでもなく2シーズン程は着回しただろうか。
ただ、子供心にも印象的だったらしく大人になっても肘あて付きの洋服をみるとその事を思い出し、人にエピソードを披露、当時はそんな粗悪品が出回っていたんだねなどど言って笑っていた。
今年も寒くなりセーター等が必要な季節。ある朝スタッフのRが肘あて付きのセーターを着て来た。条件反射のごとく冒頭のエピソードを披露、一笑いのはずが、話を聞いたRがいぶかしげな顔で考え込んだかと思うと着ていたセーターを前後逆に着替えた。するとなんということでしょう、先程まで肘の後ろにあった肘あてが あら不思議 肘の内側にあるではないか。コペルニクスも呆気に撮られた結論は、僕は小学校時代の2年程セーターを前後ろ反対に着ていたということであった。30年間気がつかなかった.
後日談 実家に帰ったおり、母に確かめたところ、やはり肘あての位置がおかしかったとのことでした。
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