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出張その3 走る

緊急事態発生

ネパールのあとに訪問する予定だったカルカッタのiiシリーズのお財布を作っている工場の社長さんの身内の方が亡くなられて商談がキャンセルになってしまった。

急遽、知り合いが住んでいる前から機会があれば行きたいと思っていたマドラスの近くの町に行く事になった。チケットの手配も無事済み、いざ出発。
カトマンズの空港にいざつくと経由地デリー行きの飛行機の出発が遅れている。ウーム。デリーでのトランジットの時間は2時間しかない。しかもその2時間で 入国審査をデリーで済ませ、国内線の空港に移動もしなくてはいけない、まんじりともせず椅子にすわり歩きまわりまた椅子に座る。
結局1時間半遅れで出発、 デリー到着も1時間半遅れ、ダッシュで入国審査を目指す。そして目の前に10分で3mくらいしかすすまない長蛇の列。係官に事情を話すも埒があかずじりじり とわずかづつ前進するしか出来る事は無い。
が、その時突如海が割れた。我らの真横のロープが不意に取り払われ今まで無人だったブースに入国審査官が座る、考えるよりも早くそのブースの前に並ぶ。後から横からの人々の圧力をすべて背中でブロック、50番目位だった順番が急に3番目になった。
審査が終わった時点でマドラス行きの出発時間。万事休すと思われたがなんと1時間出発が遅れているとの情報。
間に合うかもしれない。しかし荷物が出てこない、トイレにいって銀行で両替してると急にコンベアーが動き出した。
よし、来い。一番に荷物よ出てこい。

なんてことだ、ほんとに一番に出て来た。

国内線の空港はどっちだ。空港係員に尋ねるともう時間が迫っているからバスは無いからタクシーで行った方がいい、こっちに来いというので、走る職員の後を 追う、ずっと追う、さらに追う、がなんかおかしくない?空港から随分離れところのタクシーに止まっていた荷物を積み込み始めたので念のため値段はいくら? と聞いてみる。
800ルピーだ
ありえない 日本円で2400円位だ。空港職員だと思ったらただのぽん引きだった。やっぱりデリーだ。油断も隙もないけどこちらも時間がない、
200ルピーにしろ。
いや 700ルピーだ。
すったもんだの挙げ句 400ルピーでお互い妥協点を見いだした。しかし結局このタクシー運転手にしてよかった。

すぐそこかと思っていた国内線の空港は 10kmほど離れていて、しかも帰宅ラッシュで道は車で渋滞していたのだが、この運転手は車と車のわずかの信じられないような隙間を見つけてしかもその隙 間にアクセルを踏み込んで突っ込んでいく。
ありえないし死にたくないんですけど。
パッシング、クラクションを駆使して右に左へ、しかも急ブレーキは1回も 使わない。きっとこの運転手はデリーの渋滞のなかでレースをやったらシューマッハにも勝つかも知れない。着く頃になるとだんだんこちらも目が慣れてそこだ その隙間に突っ込めとか思っているから不思議だ。。多分彼のおかげで10分は時間を稼げたと思う。感謝。運転手にチップ100ルピーを奮発、チェックイン カウンターに再びダッシュ、がもうすでにチェックインは終わったと言うお姉さん。あなたの会社の飛行機が遅れたからこんな時間になったんですよ と笑顔を 忘れず頼み込む。お願い。デリーなんかにいたくないんです。

…..オーケー。ただ急いでください。
はい!
チェックインをすませると、男前の航空会社の職員に先導され、長い列が出来ていた手荷物検査も並ばずにパス、いくつものの奇跡のおかげで無事機中の人となったのでした。

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