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今日を生きる

四十も後半に差し掛かった頃から夜眠くなるのが随分と早くなった。どうにもたまらず九時前には布団に入ってしまうこともある。昔のように飲み歩くことも滅多にないし、見たいTVもこれといってない。夕餉を終え歯を磨きどれどれと本のページを繰っているうちに、焼酎の酔いも手伝ってかすぐに瞼が重くなり、読み進むこともままならず、そのまま床についてしまう。

ふと、目が覚めると隣室から家族の声が聞こえてくる。
「随分とみな早起きだな」
もそもそと起き出し居間に顔を出すと、まだ0時前だったりする。
「まだ今日なのか」
誰にともなく呟き、用を足すと再び布団にもぐり込む、そんなことも二度や三度ではない。

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