インドの牛

ゴアのビーチでは夜な夜なパーティーが行われていた。

80年代後半のことだ。ビーチで、草原で、森の中で。いろいろな国の人が集まってダンスミュージックを流して朝まで遊んでいた。そのころ僕は20代の初めでジャングルの中に野宿して生活していて、たまに遠出してはパーティに参加していた。

その夜のパーティは森の中。100名以上はいたと思う。月のきれいな夜で、ヤシ酒を飲んでご機嫌に寝転んでいたら、急に音楽がぶちぎれるようにやんだ。

ポリース!

誰かが叫ぶ声が聞こえた。目を向けると長い棒を振り回しながら警察官が会場になだれ込んできていた。蜘蛛の子を散らすように逃げる若者たち。僕も脱ぎ捨ててあったサンダルをようやくみつけ、森の中へと逃げ込む。方向なんてわからない。とりあえず遠くへ遠くへ。気がつくと6人ほどになっていた。

 

もうここまで来たら大丈夫だろう。

窪みに身を隠して煙草に火をつけ自己紹介し合う。ドイツ人、アメリカ人、夫婦のスイス人は警察官だと自己紹介し、だからこんなところで捕まるわけにはいかないんだよねと笑った。どうやら、パーティーの主催者が警察官に袖の下を渡さないままパーティーを決行したのが原因なのではないか、という話だった。ほんとか嘘かはわからない。

ふたたび歩き出す。どれくらい森の中を歩いただろう。ようやく見つけた人の歩いた跡をたどっていくと、ひらけた場所にでた。満月に煌々と照らされた道がカーブを描きながら輝いている。ここはいったいどこなのだろう。やがて遠くから白い牛が荷車を曳きながらこちらに向かってくるのが見えた。一歩一歩アスファルトを踏みしめる牛は月光に照らされ、おおきな角がゆるやかに揺れている。

ゴッドステップ

誰かがつぶやく。

白く月光に輝く牡牛は、神様が乗るなら確かにこの牛だろうというおおらかな威厳をかねそなえていた。やがてゆっくりと僕たちの前で止まる。。

荷車の男と交渉をして荷車に乗り込み、ようやく僕たちの長い夜は終わった。

 

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