2022.4.25
インディラガンジー空港近くホテルのカーテンを開けるとしばらくして窓の外に鷹が降り立った。こちらの視線に臆することなく遅れてきた若鷹に餌を与えている。これはとんでもない吉兆なのではないだろうか。
今日は朝の便でジャイプールへ移動する。
国内線のチェックインもすんなりとすみ、荷物検査も完了、出発まで時間はたっぷり1時間半。
コーヒースタンドを見つけ5mほどのオーダーの列の最後尾に並ぶ。
ゆっくりと進む列の外れたところで、おじいさんが店員に話しかけチャイを頼もうとしている。すると、オーダーの受け取りを待っていた若いカップルがおじいさんに、注文するのはここじゃないよ、列にならばなきゃ とでも言いながら、にこやかにオーダーの列の先頭のおじさんに話しかけ、またおじさんもにこやかにおじいさんを列の一番前に入れてあげるではないか、後ろに並んでいる人たちもまた微笑んでいる。このインド人の優しさよ。心の広さよ。列の後ろで一人涙ぐみそうになるのをこらえる。だからインドが好きなのだ。
おじいさんはチャイを二つ買いお婆さんの元へ。
やがて列が進み前の人の支払いが済みようやく僕の順番。チャイとサモサ と言いかけた僕の目の前で店員はレジの鍵を閉め、カウンターは閉まったから注文はとれないと告げそのままどこかに行ってしまった。
取り残された列は諦めたようにやがてほどけ、呆然としながら僕も朝食を諦め、搭乗口に向かう。
あのおじいさんがいなければ、僕まで買えたのにと思ったかどうかは誰にも言わなない。