リンゴの皮をむくシャリシャリという音が部屋にひびく。
「オータンもリンゴひとつどう?」
「いや、今はリンゴはいらないや」
「あらそう」
早朝に着くはずだったインドからの荷物が手違いから届かず、することもなくなった僕と、チャハットレディーのひとりKは、冬の朝日がながく射し込む事務所の部屋で暇を持て余し、とりあえずコーヒーを飲みながらぼんやりしていた。
シャリシャリシャリシャリ
リンゴのみずみずしい香りが部屋に拡がる。
真っ赤なリンゴを四つ切りにし、そのうちのひとつの皮をむきKが一口かぷっと食べる。
シャリシャリシャリシャリ
Kがふたつ目のリンゴをむいているのをじっと見ていたら、つばが出て来た。
むき終えたと思ったら、間髪をいれずぱくっと一口食べてお皿に置き、みっつ目をむき出した。
シャリシャリシャリシャリシャリシャリ パクッ
みっつ目も一口食べてお皿に置き、よっつ目をむき出す。
「あの、やっぱり僕にもリンゴちょうだい」
「あ いいよ」
Kが差し出そうとしたお皿の上には、一口だけかじられたリンゴ3片並んでいる。
「いつもそうやってリンゴを食べるの?」
「ううん そういう訳じゃないけど ほら 一人暮らしだから食べ方も自由なんだよね」
むきおわった4つ目のリンゴを僕に渡しながら、ちょっと笑いながらKが言った。
そんなKさんをはじめチャハットレディー(チャハットで働く女性のこと)の皆さんで、日々のチャハットはあなた達のおかげで成り立っています。
一年間ありがとう。
そしてchahatを 愛してくれている皆様本当にありがとうございました。感謝しています。
来年もよろしくお願いします。
こんな時にリンゴの話しもどうかと思いましたが、アップすることにしました。
大滝詠一さんのご冥福をお祈りします。