車の中がなんだか臭う。
大晦日の雨まじり高速道路。妻と犬2匹(アルとスン)で東京の実家を目指している最中のことだ。
気のせいかとも思ったが臭いはますます強くなるばかり。
助手席の妻が後部座席を振り返り悲鳴をあげた。
「たいへんアルがウンコしている」
バックミラーで確認すると、荷物室のアルが情けない姿でこちらを見ている。申し訳なさそうな顔をしいるが太々としたウンコはとまらない。
臭い、とても臭い。とても耐えられない。
車をとめてウンコを処理すべきか。
いや、最近高速道路で車の外にでて轢かれる事故のニュースをみたばかりだ。
しかしこの臭いは我慢できない。
究極の選択を迫られた僕は、冬の雨の降る高速道路を次のサービスエリアまで、窓を全開で走った。
寒い。