バンコクの空港にあるレストランでカルカッタ行きの飛行機のボーディングを、シンハービールを飲みながらずっと待っていた。
成田ー台北ーバンコクと乗り継いだまでは順調だったのだが、最後のカルカッタ行きの便が大幅の遅れているらしく、長旅の疲れと過剰摂取のアルコールが僕の体をソファーに深く沈み込ませ、動くのが容易ならない。
飛行機の中や、空港の待ち時間を利用して、出張中の資料の整理をしようと目論んではいたものの、飛行機に乗るとアルコールについ手が出てしまうのにはなにか理由があるのだろうか?お日様の高いうちはお酒は飲まないようにしている僕が、お正月でもないのにしたたかに酔い、無論仕事など手につくはずもなく、手荷物に詰め込んだ資料がむやみに重い。
飛行機の中や、空港の待ち時間を利用して、出張中の資料の整理をしようと目論んではいたものの、飛行機に乗るとアルコールについ手が出てしまうのにはなにか理由があるのだろうか?お日様の高いうちはお酒は飲まないようにしている僕が、お正月でもないのにしたたかに酔い、無論仕事など手につくはずもなく、手荷物に詰め込んだ資料がむやみに重い。
ようやくの搭乗のアナウンスに促され、レストランの支払いをすませて搭乗口まで歩を進めていると、左目の端が何かをとらえ脳が指令を送った。
とまれ
ゆっくりと顔を向けると、寿司屋のカウンターに一人ですわり握りを頬張る男がいる。知っている。この男は見覚えがある。
丹下だ!
20年程前の学生時代よく遊んでいた仲間の1人で、お互い社会人になってからは、年賀状のやり取りくらいになってしまっていたので、まるまる20年ぶりの再会になる。お互いの近況を伝え合い、ファイナルコールの搭乗案内にせかされて別れた。
先程まで僕の体を支配していた倦怠感とはなんのこと。旧友との再会が僕に新しい活力をもたらし顔は自然にほころぶ。早速乗り込んだ飛行機で祝杯をあげた。
それにしても、20年ぶりに寿司屋のカウンターごしに見つけた友人に近づき、最初にかけた言葉が
なにか握りましょうか
だった自分に拍手を送りたい。